時計の磁気帯び
人体に与える電磁波の影響が色々と取り沙汰されていますが、時計の場合は磁気帯びとなって確実に悪影響を及ぼします。
修理に来た時計を分解前に調べてみると、程度の差こそあれほぼ全ての時計が磁気帯びしています。
磁気帯びの検査は高価なガウスメーターという専用測定器もありますが、方位磁石を利用しガラス面同士を接触させないようギリギリで時計をゆっくり動かすと、磁気帯びしている場合は動きに同調して方位磁石の針が振れますので、磁気帯びの有無がわかります。
精度に影響が出ない程度の磁気帯びでしたらそのままでも支障はありませんが、止まりや遅れ、進みの症状がある場合は脱磁(磁気抜き)しないと改善しません。特にゼンマイ式(手巻き/自動巻き)のロービート(5~6振動)の時計のヒゲゼンマイが帯磁した場合は、精度測定器(ビブログラフ・タイムグラファー等)の測定線も乱れ、精度も明らかに悪化します。
ハイビート(8~10振動)の時計が帯磁している場合は、弱い帯磁ですとゼンマイのトルクと弾性の強いヒゲゼンマイによって、精度に影響が出にくいのですが、強く帯磁しておりますとやや厄介です。
前述のビブログラフなどでも分かりにくく、一時的にほぼ正常な測定結果が出ることがありますが、実測で日差が数分以上の誤差が出ることもあります。デジタル測定器(witschなど)では、測定不能となるのですぐに判明します。
携帯電話やパソコンなど現代社会は電磁波だらけで、いつ磁気帯びしても不思議ではありません。
特に’60年代以前の時計は電磁波がほとんど飛び交っていない時代の産物で、磁気に対してはほぼ無防備です。
突然に時計の時間が狂うようになりましたら、点検の意味でも、どうぞお気軽にお持ちください。
磁気抜き専用の機械にかけることで簡単に脱磁出来ます。