ラグのキズ

『ラグのキズ 』

他店に持ち込んだ履歴のあるロレックスのケースラグを見ると、画像のようなキズが付いているものを多く見かけます。これは、時計店がバンドを取り付ける際に、バネ棒でラグを削ってしまって付けたキズです。
 

専用工具もありますが、一般的なバネ棒入れでも、保護テープ(セロテープで可)を張ってからバネ棒を押し込めば、よほどのことが無い限り、キズが付くのは防げます。

むしろここで問題にしたいのは、お預かりした時計にあからさまなキズを付けているのにもかかわらず、気づかない、もしくは目立たない部分だからわからないだろう、とそのまま引き渡すという、修理品に対する考え方です。

このような業者が”時計店”、”時計修理”を看板に掲げているというのは、信じられないというか、同業者として恥ずかしくないのか、という気にさせられます。
 

当社で”ケース仕上げ”を施せば、使用に伴って付いたキズと一緒に、よほど深いものでない限り、元に戻すことが可能ですが、このキズがあまりに痛々しく感じるので、オーバーホールだけの依頼でも、ラグだけはこの状態にまで復元してお客様に返すようにしています。
 

メーカーでなくとも技術があり、良心的な修理作業を行うところは多く存在します。そういったところが、一部の無頓着な業者のために、「やはりメーカーで無いと・・」という評価で一緒くたにされてしまうというのは大変残念なことです。