ムーブメント比較解説~ロレックス・オイスター 自動巻き

ロレックス Cal.2135(自動巻き)

レディースのデイトジャストに搭載されているCal.2135です。

 ロレックスCal.2135

自動巻きユニットを取り外すと、他の機械ではまず目に飛び込んでくる角穴車は一番受けの下に配置されています。

Rolex Cal.2135

通常手巻きの伝達は、巻き芯→キチ車、ツヅミ車→丸穴車→角穴車となりますが、「中間丸穴車」を追加することで(右写真中の赤丸部分)、各歯車にかかる負担を軽減し、磨耗、欠けを防止しています。

また、先代のCal.2030と比較して、ハックレバーの形状が2分割に改められ、折れて時計を止めるといった事故が少なくなっています。

cal2135_03

この機械で最も多い故障としては、OHせずに何年も使用し続けると、カレンダーが12時ちょうどに変わらずに2~3時ごろにゆっくりと変わってゆく、という症状が出ることがあります。

 これは油の変質の他、カレンダー板裏についている、太陽のように見える部品(写真下)の歯先が磨耗、変形するためです。

 修理法としては、メーカーではカレンダー板の交換となりますが、ほとんどの場合、顕微鏡を使用して一歯ずつ研磨し、規制バネのテンションを弱めることで解決します。

ロレックスCal.2135カレンダーディスク

 

 初期型ではカレンダー早送りが順送り、逆送りともに可能だったのですが、このため歯の磨耗が進行するらしく、後期型では順送りのみとなっています。 後期型では順送りのみになるよう右写真の赤線で囲った部品が変更されています。しかしこの対策部品は非常に高価です。

 初期型をお持ちの方は、交換せずに早送りは順送りだけにして使用するのが良いかもしれません。このカレンダー機構の不具合も、定期的なオーバーホールを怠ったことに起因するものです。

 Cal.2135は全体的には目立った故障も少なく、大変完成度の高い機械です。最新型のCal.2235は、やはりというか、このカレンダー部分を中心に改良されており、確固たる地位を築いているロレックスが、業界トップの座で胡坐をかいているのではないことを証明しています。

ロレックスCal.2135 カレンダーメカニカル