(2)ロレックス Cal.3135(自動巻き)

ロレックスのデイトジャスト(メンズ)やサブマリーナデイト、シードゥエラーなどに搭載されている機械で、Cal.3135のローターを外したところです。

ロレックスCal.3135  


 この状態からわかる特徴としては、テンプのブリッジが両方向からの支持に改良されたことがあげられます。その変更については、これでもか、というくらい雑誌等で紹介されていますが、それが何のためなのか、どういった効果があるのか?ということに関してはさっぱり語られていません。

 専門用語で簡単に現すと、「テンプのアガキ調整が容易に行える」ということです。テンプ中心にある,天芯の先と受け石の間にはわずかな隙間(アガキ)が必要になるのですが、最終的には数mm/100単位の微調整となります。
ロレックス部品の工作精度は非常に高く、調整の必要はほとんど無いのですが、いくつかの部品が組み合わされるテンプ部ですと、最終的には微細な誤差が発生します。
 テンプ・ブリッジの下部に調整ネジ(右写真の赤丸部分)があり、これを回すことによって、テンプを平行に保ち、天芯アガキを最適な状態にすることが可能です。
 これは他のムーブメントには見られない画期的な機構です。Cal.1570まではタガネで凸をつける、ヤスリで見えない部分を削る、といった原始的な手法で調整しています。

 

ロレックスCal.3135

この機械に多い故障として、3番歯車ホゾの磨耗がありますが、これは5年以上オーバーホールを行わなかった、または水分が浸入した等の理由で、オイルが切れたのに使用し続けたことによるものであり、故障ではなく取り扱いのミスといえるでしょう。
 また、ゼンマイが切れて停止することが多く、修理業界ではこの部分にいささか問題あり、とする意見もよく耳にしますが、ちょっと違った見方もしてみましょう。

 cal3135_04

 

これまで数十個のゼンマイが切れを見てきましたが、切れる部位がほとんど同一です。(写真下を参照)
これは、香箱芯を細くし、持続時間(ゼンマイの巻き)を増やしたためにゼンマイに負担がかかり切れてしまうのが原因のようですが、別な意図があってこのような設計にした可能性も否定できません。

 ゼンマイが巻き上がった状態で終端部が切れると、一気にゼンマイがほどけ、周辺の歯車を破壊してしまう可能性があります。このCal.3135でみられるように、ゼンマイの初端部で切れた場合は、他の部位に影響を与えず、交換部品はゼンマイだけで済みます。単なる偶然かもしれませんが、意図的なものであるとすれば、さすがロレックスといった印象です。

ロレックスCal.3135 ゼンマイ

 

自動巻きの巻き上げ効率の高さ、定期オーバーホールを怠なければ日差+3~5秒を保てる精度、カレンダーのジャストチェンジと早送りのシステムなど、いずれも他メーカーに比べて一歩抜きん出ている素晴らしいムーブメントです。
 
  しかし、このムーブも登場から15年以上が経過しています。次のモデルチェンジの計画が進んでいるのかもしれません。この欠点の見当たらないムーブから、いったいどこを、どういったメカニズムで改良してくるのか、今から楽しみです。(写真下はローターを取り付けた後のCal.3135)

Rolex Cal.3135