(5)ロレックス Cal.1215(手巻き)

手巻きオイスターデイトに搭載されている、Cal.1215です。中三針方式であるため、中心よりやや右上部に見える、3番歯車から延長された“出車”が特徴的ですが、これは従来のスモ-ルセコンドからの設計変更を極力少なくしつつ、ムーブメントの厚みを抑える機構です。

ロレックスCal.1215

この出車を外す際、無理なやり方をして受けをキズだらけにしてしまったり、歯車や軸を曲げてしまっているものが非常に多くあります。
 秒カナを外した後、中心部分にオイルを指し、楊枝の先で回してやる事によって、どこにもダメージを与えることなく出車を外すことが出来ます。針を逆回転してカレンダーを戻しても、機械には全く負担がかからないので、比較的早くカレンダー合わせをすることが可能です。
 カレンダー早送り機構が付いている時計の場合、トラブルが出やすくなることも事実で、このCal.1215の方式が最も安全かつ確実なのでは、と思います。

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カレンダー板の歯車が磨耗している場合でも、規制バネや送り車(下の写真の赤丸部分)の微調整で対応可能なため、オーバーホールで機能を回復できることが多いのも特徴です。
 雑誌などにはあまり取り上げられていませんが、両回転巻上げ第1世代であるCal.1030は、このCal.1215に自動巻きユニットを重ねたものです。その証拠に、パーツリストでは部品番号が異なるものの、キチ、ツヅミ車など、共通して使用できる部品がいくつかあります。
 これまで、数百個のCal.1215を見てきましたが、錆びによるダメージを除けば、磨耗する箇所はほとんどありません。

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チラネジと巻き上げヒゲを採用したテンプ、針合わせの際に稼動するオシドリ、裏押さえのなどの造りは高級機種に比べて遜色ないものです。

 比較的安い値段で流通しているせいか、とかく造りもそれなり、という評価を受けがちですが、決してそうではないことがわかります。状態さえよければ、歴代ロレックスのなかでは最もトラブルの少ない、完成されたムーブメントであることは間違いありません。