(4)ロレックス Cal.3035(自動巻き)

メンズサイズでは初のハイビートとなったCal.3035ですが、特徴としては、高振動化による精度向上、カレンダーの早送りが可能となった、という点があげられます。状態の良いものですと、精度は安定しており、この点は素晴らしいものです。
 ハイビート化に伴い、ゼンマイのトルクが強力になったせいで、手巻きでゼンマイを巻き上げるための歯車(写真赤丸)が1つ追加されており、オーバーホールを怠ると、この歯車の中心軸がたちまち磨耗し、高価な1番受けを交換することになります。

ロレックスCal.3035

前作Cal.1570に多かった2番車の中心軸磨耗に関しては、2番車(写真大きい方の赤丸)を中心からずらして配置し、 分針の付く筒かな(写真小さい方の赤丸)にはトルクがかからないように設計されています。このため、地板に磨耗は起こらず、交換は歯車だけで済みます。

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故障例としては、自動巻ローターの脱落があります。ローター芯を馬蹄形の部品(写真赤丸)で挟み込んで固定しているのですが、この部分が大変”微妙”な設計となっており、きつい(狭い)と入らず、ゆるいとローターが脱落します。部品表を見ると、数ミリ/100mm刻みで3種類用意されており、加工誤差や、磨耗の程度によって現物合わせで選択します。
また、秒針停止レバーが折れることも多く、それが原因で時計を止めてしまい、 オーバーホールが必要となることもあります。時計の動作には影響がないので、取り去ってしまってもよいのにとさえ思います。

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 最もやっかいな不具合としては、スリップと噛み合い、という相反する2つの役割を担う「遊動日修正車(写真下赤丸)」の動作が不安定で、しばしばカレンダー早送り不良を引き起こすことがあげられます。
 解決策として、全自動洗浄器で油分を完全に除去し、歯車表面を丹念に磨いて、スリップとかみ合いの切り替えが確実に行われるようにします。
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 このCal.3035で初お目見えとなったカレンダー早送り機構ですが、やはり未完成なものであったらしく、次のCal.3135では大幅な改良が加えられています。
 Cal.3135が登場した後も、カレンダー無しのCal.3000はエクスプローラⅠやエアキング用に生産が続けられており、この部分を除いては完成度の高い機械であったことがわかります。